変な奴4

だが、彼も負けてはいない。 『お前は女性に自信があるのか?』

 

私は痛い所を衝かれ『俺が一番判らないのは女性だな、 判らないから二度も離婚したのだろうな、 この歳になっても判らない』と答えると、

 

彼は、この時とばかりに『そうだろう、お前は俺の事を 色々と言うけど、理解していないのだよ、女性を』と言ってきた。

 

私は『でも、男性で女性の心理を本当に理解している奴はいるのかな?』 彼は「居るだろう、多くは居ないが、それなりに理解して 上手くやっている人はいると思うよ」

 

私は『だけど女性を理解出来るなら、離婚は、 こんなに多くないのでは?』 『そうだよな、どうも離婚は、女性が言い出す事が 多いみたいだからな』と彼が答えて、続けて 『お前は二回も離婚したのだから判るだろう』と問うのである。

 

私は『俺の場合は、多少違った部分があったから、該当しないかも、 それに古傷には、あまり触られたくないな』と嫌な顔をすると

 

彼は『でも事実だからな、ただ、俺から見ると、お前の好き勝手で 破綻したように思うけどな』 『確かに、俺が何かに逃げていたからだろうな、あれが無かったら 俺も変わっていたかも知れないな』と答えた。

 

(あれとは、幾度か書いた事がある、彼女の死である。) 続けて彼は『俺から見ると、お前は女性に惚れ易いタイプだな、 何か勘違いしているような気もしないでもないが』 『えっ、どんな事』 『お前は女性から優しくされると、自分に気があるのではないかと 考えるだろう、それを勘違いして、意識して行動がギクシャク している部分が見受けられるのだよな、言うなれば 自意識過剰なのだよ』、私は痛い所を衝かれて、反論出来なかった。

 

さらに彼は『どうも、お前は女性を、何か間違った見方を しているような気がする、上手くは言えないが、 母親と彼女の死によって、女性を美化しているのではないか、 女性も男性も人間なのだから、同じに見なければならないのを 美化すると、そこには自分の気持ちを正直に出せない事になる、 それがギクシャクする原因でもあるかも』と 説教じみた事を言うのである。

 

彼の言う事が合っているだけに、私は反論できなかった。 確かに私は、自分でも自意識過剰な部分があると思っている。 これは彼の言う通りに、母と彼女の死が原因であると思う。 どちらも愛する人であった事が、私の思い出を美化していると 言えるのである。

 

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