変な奴7

私自体が悪さもして来たし、非常識な事もして来たが、 その中で経験して来た事を、生かして来たと言う自負もあり また、仕事に対しての自信もあったので強気な自分を出せた。 そんな私であったが、どうも彼は私を冷静な目で見ているようだ。

 

私の性格は、どちらかと言えば大雑把な所があり、多少は物事に 拘るが、最後の段階になると、成るように成れと居直るのである。

 

そんな性格だから、細かい事を一々言う奴が嫌いで、そんな奴を 見ると腹が立ってくるのであるが、彼はそんな私の事など 意に介せず話し掛けて来る。

 

私は『専門学校は社会に出る、一歩手前の教育であるから、 彼達が社会に出た時に、混乱しないように教える事が 必要だと思っていたし混乱した場合の対処の仕方も 教えたつもりだよ、それが社会人としての先輩の取るべき道だと 思っていたからね』

 

『でもね、お前は生徒達との飲み会の時に、自動車がぶつかって 壊れた自動販売機から、ジュースを生徒達と一緒に盗んだりしたり、 男子生徒に、お化粧をさせてオカマの格好をさせて 騒いだりしていたな、それが良識ある人のやる事か?』

 

『確かに、そんな事をさせたりしたよ、それも若さの中で発散する ひとつのエネルギーであり、若さの特権ではないのかな』 私は『私は授業に関しては厳しかった、ただ授業から離れると 彼達とは同等の目線で接したのだよ、ただし度を越した事は させなかった。 彼達も、そんな時は先生と思っていなかったと 思うよ、少々小うるさい先輩と思っていたのではないかな』

 

『確かに、彼達は飲み会が終わると、お前のアパートで 勝手に冷蔵庫の中やコーヒーを出したりして、寝ているお前を 無視した行動を取っていたな』

 

『そうだな、あいつらは俺を先生と思ってなかったかも? 俺も先生と思って付き合ってはいなかったが、 無駄な出費は多かったな』

 

私は義務教育が過ぎた若者が、次に学ぶ事は技術もそうであるが 社会の仕組みも学ぶべきであると思っていたし、それを教えるのは 私たち先輩の役目だと思っていた。

 

確かに彼達は甘えが、ある事は否めないが、その甘えを 受け入れながら社会人としての流れを教え、なおかつ青春を 謳歌するべきだと思っていたのである。 それに乗じて、私自身が出来なかった青春を 謳歌していた部分もあった。

そんな事で、彼達とは遊ぶ時は徹底して遊んだ。

 

 

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