変な奴2-16

奴は「お前、今日はずいぶん分かった事を言うじゃないか。

お前がドミニカ共和国で貧困の、若い子たちに援助して

学校へ行かせたりしたが、それが何処まで自分自身に満足できた

自分では満足できなかっただろう」と言って来た。

 

私は「確かに満足出来なかった、むしろ中途半端な事を

しているように思えた、本当に面倒をみるなら最後まで

見届けるべきだと思った。

私の場合は任期が決まっていたから、その間だけは見て上げられるけど

最終的に任期が終了すると日本に帰ってしまう。

本当にやってあげるなら、最後までやって、

初めて、やって上げた事に成るのだとおもった、

中途半端にやるなら、はじめから手を出さない方が

良いのかともと思ったが、それにも限界があるよな」と

自分が反省していた事を、奴に言った。

私は『海外珍滞在記』にも書いたが、貧しさから家庭の為に働く子に

援助して学校へ行かせるが、最終的に、お金が手っとり早く稼げる

風俗に戻ってしまうのが殆どだった。

それには日本の戦後間もなくの頃と同じで、

社会環境が整っていないので働く所も少ない。

その為に貧困格差が大きく、良い所に就職するためには

コネを使うしかない。

結果的に貧しさから抜け出せない環境なのである。

私が経験した日本の戦後と同じような環境である。

 

奴は「お前は幸運にも、最先端の技術を取得したから良かったが

世の中は、そんなに甘くは無いのだよ、

お前の場合は日本のコンピュータの初期の頃だから

色んな面で得をしたが、お前が、そこまでに辿りつくには、

どれだけ努力した他人の倍は努力したろう。

それを他人に押し付けても駄目なのだよ」と

分かった振りをした返答が返って来た。

 

私は、またもや頭にきた。

「お前ね、俺の努力した事を他人に押し付けていると言うが

俺は押し付けていない、ただ、その苦労を自分なりに知っているから

相手にも援助して助けたいと思っているだけだよ」と

多少語気を荒げて言い返した。

 

「そうかな、俺には自己満足にしか見えないけど、

相手は貧しいから援助は受けるよ、

きとくな人も居る者だと思って受けるさ、

だが、お前は相手が学校に行くまで見たか?見ていないだろう

相手からすると良い金ヅルだったかもしれないよな、

気前良く、お金を出してくれるのだもの

俺だったら、こんな人の傍によるよな」と

せせら笑う様に言うのである。

 

私も腹が立ったが、自分なりに思うと、相手の言う事を信用して

お金を出していた部分があるので、それには言い返せなかった。

奴の言う様に本当に、良い金ずるだったのかもしれないと

思える部分はあったからだ。

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