変な奴8

不思議なもので、男たちと遊んでいると自然に女性も増えて来て その中で私も鼻の下を伸ばしていた部分があった。

 

『待てよ、お前は、そこで犯罪的行為を行ったのでは?』 『犯罪、人聞きの悪い事を言うなよ』 『だって、お前の二回目の奥さんは教え子だったろう』 『確かに、だけど彼女が卒業してから結婚したよ』 『でも、卒業近くから付き合っていたのだろうが』 『確かに、付き合っていたが、俺は先生という立場は崩さなかった、 だから、前にも書いたが、「ずるい」と言われたのだよ』

 

私は『お前ね、人の過去を穿り返して楽しいか?』と 嫌な顔をすると、彼は誇らしげな顔をして 『罪は罪、その罪が今のお前に償いさせているんだよ』と 高笑いをしながら言うのである。

 

私は彼を睨み付けながら『他人のスキャンダルは楽しいものなの、 何とでも言えよ、好き勝手に』と不貞腐れて言うと 『そうか、じゃお前が相手の親の所に頭を下げに言った時は 俺は笑っちゃったよ』

 

確かに、あの時は相手の親の顔を見る事が出来なかった。 私は下すら畳に頭を擦り付けて、『お願いします』を 連発していたのである。 彼はその事を言っているのである。

 

彼は『お前は、あの時一度で許されなかったよな、あの後 何回行ったのだ、許される為に』 『何回だったかな、四、五回かな』 『でも、最終的に許されたのだよな、汚い手を使って』 『汚い手、そんなの使ってないよ、既成事実はあったが』 『それが汚い手なんだよ、出来ちゃった婚の始まりかな?』 『うるさいな、お前に言われたくないよ』 と私は叫んでしまった。

 

彼は嵩にきて『お前は、ただの助平親父だよ』 それを言われた、私は返答する事が出来なかった。

 

続けて彼は『どうも、お前は若い子と付き合いが多いように 思うのだが・・・・』 『確かに俺は若い子との付き合いが多いな、俺自体の性格が 餓鬼なのかも知れないから、若い奴と会うのかもしれない』 『それは、それで良いのでは、だからお前は騙され易いのだな』 『確かに騙され易いかも、言うなれば単純なのだよ、俺は、 でもお前は俺の事を、ああでもない、こうでもないと 言い過ぎるのでは?』

 

『確かに言い過ぎるが、お前と俺とは一心同体だから言えるのだよ』 『確かに俺が迷った時など、お前が色々アドバイスしてくれるよな、 それで迷いが解ける事もあるし、泥沼にはまり込む事も、 おおいにしてあるよ、お前は、影の私なのだから、もう少し 俺を助ける事を言ってくれなきゃ駄目だよ、人の揚げ足を 取るのではなくて、俺の悩みを解決する助力をお願いするよ』 と私は彼に言うが、彼と私は切っても切れない友達なのである。

 

彼は時には私と反対の事を言い、私を悩ませたりして、 私を何時も見つめているのである。 私も、もう一人の自分を見ながら、彼とは、ある時は喧嘩をし また、ある時は、仲良く妥協しながら、付き合ってきたのである。

 

変な奴は、私の分身でもあり、私のそのままの姿でもある。

 

そんな事で、彼は私の行動を全部知っている、今までの自分の 取ってきた行動は、彼は冷静に見たり、嗾けたりしながら 私の心の中を見透かして、反省させたりして来たのである。

 

そんな事で私とは切っても切れない『変な奴』なのである。 (変な奴1 完)

 

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