変な奴2-3

私は奴に心を見透かされるのが嫌なので、自分から

話しかけないようにしていたら、

 

奴が「そう言えば、最近はボランティアに嵌って居るのだって

どう考えても、お前がボランティアされる立場だよな」と

せせら笑いながら私に言うのである。

 

私はムッとした顔をして、奴を睨むと

 

奴は「お前ね、自分が分かっていないでボランティアは無いだろ、

お前はボランティアに関して、考え違いをしているのではないか」

 

続けて奴はこう言った。

「俺ね、ボランティアを辞書で引いたら“自発的にある活動に参加する人。

特に,社会事業活動に無報酬で参加する人。篤志奉仕家。 「 -活動」“と

書いてあったよ」

「確かにお前は自発的の部分は、俺も認めるが、金も無い奴が

ボランティアしていますなんていえるのかな~、俺なら恥ずかしくて

言えないけど」と何時もの嫌味口調で言いやがる。

 

私は「そうかもしれないが、お金の問題ではないだろうと思うよ

気持ちの問題だと思うのだ、人はそれぞれの経験から、それなりに

優しさや労わりの心を学んで来ただろう、それを生かす事は大切だと

思うのだけど」と私は素直な気持ちで言った。

 

そうすると奴は「お前ね、それは考え方によっては押しつけであり、

お節介でもある部分もあると思うよ、人はそれぞれ違った考え方を

持っているのだから」

 

私は負けずに「人間それぞれ違うのでは、性格も違えば育った

環境も違うから思いも、違うのだよ」

 

奴は「それぞれ違うから、そこが難しい所だと思うよ」

「お前だって最初からボランティアなんてしようと考えたか?」

「自分なりの経験から、その方向に向かって行ったのだろう」

「確かに、お前が30代後半で車いすの人にボランティアで

PCを教えたのが始まりだったな」

 

「うん、あの時は専門学校で教えていたが、自分の故郷に帰って

車いすの人たちなら、動かないで仕事をする事が出来るから

PCは良いと思ったのと、自分なりにお金も持っていたからね」

「だから母の故郷でもあり、自分の生まれた所でもある函館で

ボランティアで教えようと思ったのだよ」

 

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