変な奴2-11

奴はあきれ顔で「大手ゼネコンだな、メンツもあるのだろう」

 

「そうだな、通産省もOK出しているし、システムは俺の頭の中で

相手はどうする事も出来ない。」

「俺からすると、俺に仕事だけ、やらしてくれればいいものを

あんな、くだらない事でイチャモン付ける馬鹿な男も居るのだよな」

「あいつの頭の中は、女と酒と出世だけだったのではないか、

建設関係しかやって無い人だから、孫・ひ孫等下請けを苛めて

いただけだったのだろう、あの人は」と嫌な思いをした事を

考えながら奴に答えていた。

 

奴は「その後はどうしたの?」と問いかけて来た。

 

「俺は悩んだよ、考えたシステムは俺にとっては最大の仕事だし

それは今後出来るか分からないから、諦められない部分があった。

でも人間関係で疲れていた部分もあり、自分の気持ちが

崩れかかっていたな、あの頃は」と、ボーとした目をして言った。

 

奴は「行ったのか東京に?」と問いかけて来た。

 

「いいや、どうせ行っても、また揉めるような気がしたし

自分自身の中で気力が薄れていたから行かなかった。

それと仕事上の人間関係に疲れていたから、どうしても来てくれと

言われたが、断った」

 

奴は「そこまで揉めて行っても、上手くは行かないだろうな」と

慰めるような眼をして言って来た。

 

私はこいつにしては珍しいと思いながら、奴を見た。

 

奴は「それからどうしたのだ? それでシステム計画はどうなった」

 

「うん、俺も自分の計画したシステムには未練があったが、

後は相手にしなかった、その時に新聞でシニア専門家の募集が

目に入ったのだ、それで日本が嫌になったから外国に行こうかなと

考えたのさ」

 

「それで海外に行ったのか、考えが単純だな」

 

「もともと、俺は単純さ、自分でも思うけど餓鬼が大きくなっただけの

人間なのかもしれないと思う時があるも、自分で、

俺、思うけど男は餓鬼だよ、考えて見れば、あの上司だって大人げないよ、

ただ、駄々をこねてるだけで、大きなシステムを駄目にしたのだから。」

 

奴は「それで、システムはどうなったのだ?」

 

「うん、俺はシニア専門家の試験を受けて、1次。2次、語学、面接で

合格してドミニカ共和国にシステムを教えに行く事に成って、

1か月スクーリングや語学研修が東京であったので、

問題になった彼女に聞いたら、あの計画から撤退したと言っていた、

どう考えても詳細部分は、俺の頭の中にしか入っていなかったから

出来ないだろう、だから100万でもOKしたのだろう」

 

奴は「そうかシステムは駄目になったのか、それで、お前は海外行きか」

 

「そうだ日本で、あんなクダラナイ事で、自分の最高のシステムを

作りたかったのに、駄目になった事は、俺にはショックだった。

会社組織の中で生きて行く為には、そんな事も我慢しなければ

組織の中で仕事が出来ない事は分かっているが、

あんな奴にオベッカ使って仕事はしたくなかったし、

俺も技術屋としてプライドがあるから

それなら教えていた経験を途上国の人に、生かして貰う方が良いと思った

俺も学生に教えて自分なりに教える喜びも味わったし、

学生から多くを学んだ部分もあったので、海外で教えようと思ったのさ」

 

「おい、お前も少しは大人になったな、でも、企業なんて色んな人が

居て成り立っているのだから、お前も自分ことだけを考えてるのは

少し大人げないぞ」と、またもや、何時もの奴に成って説教を始めた。

 

私も負けずに「お前、今回は俺に全部聞いて来たな、

前はお前が説教じみた事を言っていたくせに、今回は全部

俺に言わせたな」と切り返した。

 

すると奴は「お前に言いたい事を言わせないで、説教すると

お前は口をつぐむだろう、そうすると今後、説教出来ないからな

それで今回は、お前に言わせたのだ」

「そうだ海外での事は『海外珍滞在記』を、お前書いたのだよな、

200ページと長いな」

「良く書いたよな、お前みたいな奴が、海外でもODAの

計画案作成して、それが通ったので2年契約が4年に成ったのだって」

 

「そうだ、ODAの計画案でドミニカ共和国の政府機関と

国内の大学をオンラインで結び、業務の簡素化と速効化を行う

計画案を作成して外務省からOKが出た。」

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