「そうだな、日本での嫌な事をふっ切れたようだったな、
あの忌まわしい人間関係から、今度は人種も習慣も違う国に
行けるので、気持ちは楽だった」
奴は「でも、言葉の問題があるだろう、それにお前は
あの時3週間の語学研修を1週間サボったじゃないか
それにスペイン語なんて、日本じゃ、あまり使わない言葉なのに
サボるとはケシカランやつだよな、お前は」
私は「確かにサボったよ、1日、缶詰状態で
スペイン語ばかりやらされていたのはキツカッタ」
「でも、サボっても行けたのだ、お前は楽天家で変な所に
ルーズだよな、それだからシステム屋を長くやれたのかもな・・」
「確かにシステム屋は、何時もシステムを考えていてバグが出ると
それが頭から離れない、なぜ、なぜと頭の中で回転していて
寝ている時に急に眼が覚めて、起きだして考えたりする。
それが続くのだよ、それで身体を壊した奴を沢山見て来た。
私も最初はそうだったな~、でも、それでは身体が持たないと思って
ある時から変えたのだよ」
奴は「どの様に変えたのだ、簡単に変えられるか?」と問うてきた。
「確かに簡単ではないよ、自分の思考環境は、人間は仕事では
ある程度固定化されていると私は思う。
だけど、変えなければ身体が参ってしまう。
それを考えると、やり方を変化させるしかないだろう。」
「お前、屁理屈かよ・・」
「いや、屁理屈では無くて、自分の身体の事を考えてだよ」
技術屋は考えると一直線になり、周りが見えない傾向があると
私は思う。
そこには車のブレーキに遊びが無いのと同じで、
ブレーキを踏むと急激に止まる、その反動から
前のめりに成るように、自分の身体をブツケテしまう。
それによって自分自身をコントロールできないで
身体を壊すのだと思う。
だから、私は仕事で問題が起きて空回りしている時は
完全に仕事と違う事をやるようにした。
それによって思考を変えて見ると、意外と問題だった事が
解決する事が多かったのである。
そんな事を考えながら、奴に言ってやった。
「お前みたいな奴居たから、俺は自分を見直せたのかもな~?」
すると奴は「そうだろう、俺はお前の為を思って、何時も一緒に
居てやっている、感謝しろよ」とホザキヤガルのである。
私は「感謝はしている部分は多少あるが、自分を見直す事は出来たな。
だけどウザイ奴だと思っては居るよ」
「何だとウザイとは失礼な、お前は俺が居るから反省したり
自分を見直す事が出来るのだ、それを、その言い方は無いだろう」と
怒った口調で言いだした。
私は「何時もの、うるさい奴に戻ったな、それがウザイのだよ」と
言い返して、立ち去ろうとした。
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