変な奴2-14

奴は「待てよ、話は終わっていないぞ、お前が海外でボランティアとして

行った状況を説明しただけで終わりか?」

「そんな中途半端な事だから、俺に馬鹿にされるのだよ」と

何時もの奴に戻った言い方をして来た。

 

私も立ち去ろうと思ったが、奴に突っ込まれるのが嫌なので

改めて奴と向き合って話を始めた。

「だから説明したように、確かに行き詰った部分もあったが

技術屋が、これが俺の最大の仕事だと思ってやろうとした事が

クダラナイ事で駄目になった事と、人間関係に疲れていた自分が

新たな知らない土地で、やるのも良いかなと思ったから

海外に応募したのだよ、それと短大や専門学校の生徒たちに

色んな面で学ばせて貰った事も生かせると考えたのだ。」

 

奴は「ていの良い逃げ口上を言っているな、そこがお前の悪いとこ、

結果的に逃げたのだろう、素直に逃げましたと言えよ。」

 

私は内心腹が立ったが彼の言っている事に

一理あるので言い返す事ができなかった。

基本的には逃げたのかもしれない、日本の会社組織に対して

自分は合わない傾向はあった。

一匹狼で仕事をやって来ていたし、若い時に独立もして会社も興したが

自分はトップの器でない事も分かり、人を育てる事も出来なかった。

自分は技術でしか仕事が出来ない、お金儲けなど出来るタイプでは

ないのである。

それを奴は知っているから、私にキツイ事も言えるのである。

「確かに、お前の言う通りかもしれないが、

自分は金で動くタイプではない事は知っているだろう。

同時に金儲けも出来ない、取り得は、仕事に対して真面目だったから

仕事は付いて来た。

同時にやはり母親の影響が強いのかもしれないな。」

 

奴は「確かに、お前の母親は“馬鹿が付くくらいお人好しだったからな”

それに似たのだろう」

 

「そうだな、それが俺の基本なのかもしれない、俺は母を尊敬していたからな

だからボランティアのような事も考えたのだと思う」

 

奴は「お前の良いとこは、苦労した事を生かせている事かも知れないが

駄目な所は家庭を守れない事だな、二回も離婚するのだから」

 

私はこの野郎、好き勝手な事、言いやがってと思いながら

「分かっている、家庭を守れなかった分、他人に尽くして

自分自身でチャラにしているかもしれない、でも自分の為には

何も残していないし貧しさだけが残ったな」

 

奴は「それで金を残していたら、ただの悪党だよ、

お前が言う“金は天下の回り物”そんないい加減な事言っているから

何時まで経っても、金に縁が無いのだよ。」

 

「お前、それは俺の弁解で言っているだけで、本心は金が欲しいよ

でも、俺の場合、金を持つと使ってしまうし、困っている人が居れば

その人に使った部分もある」

 

「確かに海外でも随分、仕事以外で援助していたな、

それは知っているが、お前は計画性が無い、金に対しては特に駄目だね

良くそれで、システム計画を作成して居たね、あきれるよ」

と馬鹿にした顔をして言ってきた。

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